準中型自動車免許とは?取得費用や取得要件を徹底解説!

平成29年(2017年)3月12日より新設された、準中型自動車免許(以下準中型免許)。
これは様々な社会情勢を考慮したうえで制定された免許区分となりますが、とりわけ多くの物流業で利用されている2トントラック等の大きい車種をカバーしていることが特徴です。
しかも準中型自動車免許は18歳以上からの取得が可能。かついずれの免許経歴を所持していなくとも受験が可能であるため、社会にとっても個人にとっても恩恵をもたらすこととなりました。

この記事では、そんな準中型自動車免許について解説するとともに、取得にかかる費用や要件を徹底解説いたします。

1.準中型自動車免許とは?

冒頭でもご紹介したように平成29年(2017年)3月12日以降、「道路交通法の一部を改正する法律」により、免許に新たな区分が設けられました。 それが準中型免許です。
これは、いったいどのような背景で新設され、どういった車両をカバーしている免許なのでしょうか。

詳しく解説いたします。

①中型免許設立の背景

詳細な分類は後述しますが、準中型免許は簡単に言うと「これまで中型免許で許可していた車両の一部を運転範囲に加えた免許」です。
具体的には、法改正以前、普通免許で運転できる車両総重量は5トン未満・最大積載量は3トン未満でした。対して中型免許では車両総重量が5トン以上11トン未満・最大積載量は3トン以上6.5トン未満です。

準中型車両では、車両総重量が3.5トン以上7.5トン未満・最大積載量が2トン以上4.5トン未満の運転を実現します。
さらに、準中型免許は普通免許と同様に、満年齢18歳から取得することが可能です。

なぜこういった準中型免許が新設されたのでしょうか。従来通りの中型免許での範囲に、何か不都合があったのでしょうか。

背景の一つに、物流業界の深刻な人材不足がありました。

物流業界、とりわけ運送にかかる人材「ドライバー」が、年々減少していることをご存知でしょうか。にもかかわらずeコマース市場の発達や運送業の労働環境改善に伴い、ますますドライバーへの需要は高まっていくばかりです。

この人材不足の理由の一つに、従来運送会社は「経験者」を採用する傾向にあったためです。

これは、運送会社側でドライバーを教育する設備が整っていなかったこともあります。
一方で運送会社が使用するトラックは中型免許でしかカバーできない重量・積載量のものが多く、結果として新卒や若年層の雇用が活発化しませんでした。
なぜなら中型免許は20歳以上が取得要件で、かつ免許経歴が2年以上必要であったためです。

そこで免許区分を細分化し、準中型免許を新たに制定することで、若年層や運転経験のない人材をドライバーとして採用することを目論んだのです。

もっとも、施行から三年が経過する2020年現在、今以てドライバー不足や高齢化は深刻です。
しかしながら運送会社や行政の中には若年層の準中型免許取得を支援していく取り組みも始まっており、今後の展開が期待されるところです。

②準中型免許で運転できる車とは?

区分 車両総重量 最大積載量 乗車定員 取得可能年齢 その他 取得条件
普通免許 3.5t未満 2t未満 10人以下 18歳以上 -
準中型免許 7.5t未満 4.5t未満 10人以下 18歳以上 -
中型免許 11t未満 6.5t未満 29人以下 20歳以上 普通免許等の通算
2年以上の保有
大型免許 11t以上 6.5t以上 30人以上 21歳以上 普通免許等の通算
3年以上の保有

上記が、各免許で運転可能な自動車の分類です。

準中型免許は、車両総重量が3.5トン以上7.5トン未満・最大積載量が2トン以上4.5トン未満の運転が可能です。
乗用車以外でいったいどのような自動車がこの範囲に当てはまるのでしょうか。

まず挙げられるのが、「2トントラック」です。

運送会社によって使うトラックはまちまちですが、非常にポピュラーなのがこちらの2トントラック。街中で見かけることも多いかもしれませんね。
これは車両総重量が5トン未満・最大積載量が2トン以上3トン未満のものとなります。なお、準中型免許新設以前は普通免許でも運転することができましたが、現在は準中型免許以上が必要です。さらには2トントラックをアップグレードした3トントラックにも対応します。

その他の職業車としては、ごみ収集でお馴染みのバッカ―車。コンビニの前によく停車している保冷車。重いタンクを抱える散水車等が挙げられます。

なお、準中型免許での指定範囲を超えた車両・積載量の車を運転は「過積載」「無免許運転」であり、罰則の対象となります。 これから職業にしようとお考えの方は、気をつけましょう!

2.準中型自動車免許を取得する三つのメリット

準中型免許ならではの確固たるメリットが当然ながらあります。

その一つは、「2トン及び3トントラックが運転できる」ということ。現在広く使われているトラックに対応できることは、今後運送業界における就職や転職で圧倒的に有利な立場を獲得することに繋がります。

二つ目のメリットとしては、現在特に運送業界での就職を考えていない方も、今後の人生で何かあった時、選択肢を広げられる、ということが挙げられます。 例えば「別の仕事がしたいな」と思った時、普通免許ではなく準中型免許を所有していることは一つの強みです。乗用車よりも大きいトラックを運転できることは、運送業以外でも役立つ可能性が高いのです。例えばその企業が配達を請け負っていたり、仕事で使う機材の運搬を任されたり。普通免許ではカバーできない車種を運転できるということは、他者との差別化につながります。

三つ目のメリットとしては、中型免許や大型免許取得の際、準中型免許の有無で教習時限や費用が低減されることです。
中型免許や大型免許は免許経歴が必要となりますが、上位の免許を持っていればいるだけ技能・学科教習ともに免許される項目が多くなります

普通免許と準中型免許、どちらにしよう?と悩んでいる方は、ぜひ準中型免許を取得してみてはいかがでしょうか。

3.準中型自動車免許取得のために必要な道のり

次に、準中型免許取得のための要件、取得方法について解説いたします。

①免許取得の要件

準中型免許は満年齢18歳以上で取得が可能となります。なお、後述しますが、指定自動車教習所(以下教習所)に入校する際、年齢は18歳に達していない場合でも原則として可能です。しかしながら年齢について規定を設けている教習所がほとんどです。なぜなら修了検定時(仮免試験受験時)に18歳に達していなくてはならないためです。
また、普通免許や原付免許を取得していなくても、試験の受験は可能です。

基本的な免許取得の要件は以上となりますが、適正試験や教習所入校時には、視力や聴力、身体能力がチェックされます。
視力については、両眼で0.8以上、片眼それぞれが0.5以上。深視力(立体感や奥行など遠近感を目視する能力。2.5mの距離)で複数回検査を行い、その平均誤差2.0cm以下であることが求められます。ちなみに深視力の測定は普通免許にはありません。
なお、検査時に眼鏡やコンタクトレンズの使用は可能ですが、カラーコンタクトや度付きサングラスは認められていません。 また、赤色・黄色・青色の識別ができること必要です。

さらに、両耳の聴力が10mの距離で90デシベルの警音器音を捉えられること。こちらは補聴器の使用も可能です。

身体能力については、基本的に自動車の運転に支障をきたさないことが前提となります。
持病や疾患、身体障碍をお持ちの方は、お住まいの運転免許センターにご相談下さいませ。

②取得方法

普通免許同様、準中型自動車免許も定められた「学科試験」「技能試験」「適正検査」を突破することが求められます。試験場所はお住まいの地域の運転免許センターを利用します。
この際、自分自身の力だけで受験する「一発試験」か指定自動車教習所で教習を受け、卒業後に運転免許センターで受験するかで二分されます。
準中型免許は新設と言うこともあり、一発試験はあまりお勧めできません。普通免許でも合格率はきわめて低く、また教習所で受けているべき技能試験もぶっつけ本番で行わなくてはならないためです。

では、教習所ではどのような課程を履修しなくてはいけないのでしょうか。ここでは「免許経歴なし」の場合を解説いたします。もし普通免許をお持ちの方は、次項をご確認下さいませ。

まず技能教習については、第一段階を18時限、第二段階を23時限、計41時限履修する必要があります。学科教習については第一段階で⑩時限、第二段階で17時限の計27時限履修です。

第一段階と第二段階の間には修了検定が設けられ、ここを突破することで仮免許証が交付。第二段階での路上教習がいよいよスタートすることとなります。 なお、修了検定が不合格になった場合は、1時限以上の補修教習を受講し、再受験の運びとなります。

3.準中型自動車免許取得にかかる費用・期間とお得ルート

では、実際に準中型自動車免許取得には、いくらくらいの費用がかかってくるのか。少しでもお得に取得できるルートはあるのかをご紹介いたします。

①取得費用と期間

「一発試験」の場合は、受験費用に受験料・試験車使用料・免許証交付料合わせて8,650円、その後の取得時講習受講料が32,200円(普通免許なし。所有者の場合は17,800円)がかかりますが、前述の通りこちらは現実的ではありません。

では多くの方々がご利用になる指定自動車教習所で免許を取得した場合、いったいいくらぐらいの費用がかかるのか。これは、「通学」か「合宿免許」なのかで異なります。

結論から言うと、通学の場合は大体35万円程度~。
合宿の場合は閑散期(4~7月中旬または10月~1月)が30万円を切る程度~、繁忙期(7月下旬~9月、2月~3月。学生の長期休暇がこれに当たる)が31万円程度~となります。

期間は人にもよりますが、通学の場合は平均して約20日間程度~。一方の合宿は最短で18日間~となります。
通学はあくまでも目安です。通学の場合は講習に予約が必要となり、繁忙期や時間帯では予約が取れない場合も。一方で追加料金によって優先的な予約枠を提供する教習所もありますが、一方でご自身の仕事や学業との兼ね合いでついつい通学が疎かになり、結果的にさらに時間がかかってしまった…と言ったケースも。

合宿は、一度参加すれば予約等は必要なく、教習所が定めた時間割に沿って受講する形となります。
泊まり込みで集中的に受講することとなるため効率的で、交通機関を使った移動の必要もありません。なお、この18日間の中には修了検定・卒業技能検定が含まれます。

※期間はあくまで目安となり、取得日数を保証するものではありません。

※合宿免許の最短日数は教習所やシーズンによって異なります。詳細は各教習所または弊社コールセンターへお問合せ下さいませ。

②準中型免許取得のお得コースとは?

準中型免許取得にあたり、どういったコースが最も安く・早く走り抜けられるのでしょうか。

一見すると一発試験のように思いますが、こちらは一般ドライバーにとっては容易なことではありません。
そこでお勧めしたいのが合宿免許です。

通学免許・合宿免許ともに期間も費用も大差ないと思っていらっしゃいませんか?それは大間違いです。
まず、期間に関して、通学免許はあくまで「目安」であることはお話しました。中には1か月、2か月かかってしまう方もいらっしゃいます。また、その間にモチベーションが下がってしまったり、忙しくなってしまったりといった事態で、さらに取得までに時間がかかることも。
その点合宿免許であれば定められた期間バシっと集中して講習に取り組むことで、高いモチベーションを維持したまま免許取得に向けて邁進しやすいでしょう。

費用に関しても、合宿免許の方が圧倒的にお安くなります。
前項でご紹介した金額だけ見れば「圧倒的ってほどじゃ…」と思うかもしれませんが、合宿免許は教習料金や宿泊費用、往復の交通費がコミコミ!また、当サイトの表示料金には保証が付属しております。
これは、万が一技能検定がご希望に副わない結果となったとしても、保証内であれば追加の教習・検定に費用はかからない、というものです。

さらにプランによっては朝昼晩の三食付きであったり、お得なプレゼント特典がついてきたりするものもあります。

志を同じくする仲間と寝食を共にする…これもまたモチベーションを維持する一つの秘訣ですね。

準中型免許取得は、合宿スタイルで目指してみてはいかがでしょうか。

※合宿免許のプランや費用は教習所によって異なります。

※当サイトの教習料金につきましては、仮免許試験手数料1,700円/回、仮免許証交付手数料1,150円は含まれておりません。入校後、教習所にて別途お支払いいただきます。

※当サイトの「交通費」につきましては、往路交通費をお客様にお立て替えいただき、卒業時に復路分を含めて精算となります。また、往復チケット支給の教習所もあります。出発地によっては、一部お客様ご負担となる場合があります。詳しくはお問い合わせください。

4.既に普通自動車免許を所有している方向けの準中型自動車免許

既に普通自動車免許を所有している方が準中型自動車免許を取得する場合は、教習所での履修時限が異なります。

①平成29年3月12日以降の取得

「道路交通法の一部を改正する法律」の施行によって準中型免許が新設されて以降に普通免許を取得している方は、技能教習を13時間、学科教習を1時間履修することが求められます。費用はだいたい15万円~16万円程。決してお安くはないですね。

そのため「準中型自動車免許を取得する三つのメリット」でも言及しているように、現在どの免許を取得しようか悩んでいる方は、準中型免許を取得することをお勧めいたします。

①平成29年3月12日以降の取得

「道路交通法の一部を改正する法律」が施行される前に普通自動車免許を取得している方はちょっとややこしいかもしれません。
なぜなら当時の普通免許でカバーしている車両総重量は5トン未満・最大積載量は3トン未満であったためです。つまり、現在普通免許で可能としている車両総重量は3.5トン未満・最大積載量は2トン未満から、乖離してしまっているのです。

「一方の準中型自動車免許の守備範囲は車両総重量が3.5トン以上7.5トン未満・最大積載量が2トン以上4.5トン未満。従来の普通免許でも荷物によっては2トントラック等を運転することはできますが、完全に準中型自動車に対応できるわけではありません。
そのため、改正以前の取得者の免許証には、「準中型で運転できる準中型車は準中型車(5t)に限る」といった文言が記されることとなりました。

「これを準中型自動車免許に移行するためには、「5トン限定解除」を行います。つまり5トン以上7.5トン未満の準中型自動車を運転できるような免許にする、ということです。

「限定解除には二つの手法があります。 一つ目は指定教習所で技能教習を受講し、技能審査を突破。その後運転免許センターで手数料を支払って限定解除してもらう手法です。
二つ目は直接運転免許センターで試験を受け、合格後に手数料を支払って限定解除審査を行う手法です。審査完了後、限定解除となります。

「比較的すぐに解除が可能ですが、教習所での受講の場合は教材費や教習料金がかかってきます。

5.まとめ

準中型自動車免許の取得について解説いたしました!
準中型自動車免許とは、平成29年3月12日「道路交通法の一部を改正する法律」の施行によって新たに設けられた免許区分であること。
免許区分が細分化されたことで、これまで中型免許が必要であった車種の運転が可能となったこと。加えて18歳以上からの取得が可能であるため、現在物流業では人材確保の大きな一手として期待が高まっていることをお伝えできたでしょうか。
今後、ますます物流業の担い手は求められていく時代に入ります。今後の人生で選択肢を豊かにするためにも、準中型自動車免許の取得は決して損のない選択と言えるでしょう。

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